名古屋在住で高校受験のことを考え始めた方、急な転勤で土地勘の無い名古屋で子どもの高校受験を迎える方などに向けて、名古屋での進学校受験の概要を紹介します。
名古屋市の高校
主要高校の大学合格実績
| 区分 | 高校名 | 東大 | 京大 | 名大 | 合計 |
1 | 愛知県立 | 旭丘 | 31 | 38 | 53 | 122 |
2 | 私立 | 東海 | 30 | 31 | 58 | 119 |
3 | 愛知県立 | 明和 | 10 | 25 | 61 | 96 |
4 | 名古屋市立 | 向陽 | 3 | 6 | 74 | 83 |
5 | 名古屋市立 | 菊里 | 1 | 6 | 45 | 52 |
6 | 私立 | 南山 | 4 | 6 | 29 | 39 |
7 | 愛知県立 | 瑞陵 | 1 | 1 | 28 | 30 |
8 | 愛知県立 | 千種 | 0 | 1 | 25 | 26 |
出典:2021年4月18日号サンデー毎日(毎日新聞出版)
名古屋市内の主要高校の大学合格実績です(便宜的に東大、京大、名大の合格者数合計で順位付けしています)。上位8校のうち、6校を公立高校が占め私立は2校のみです。
私立の東海高校は特に医学部への進学実績で全国的にも有名な学校ですが、公立高校普通科の募集人員は300名前後に対し(愛知県HP参照)、東海高校の募集人員は40名のみ(学校法人東海学園HP参照)。南山高校も男子部、女子部ともに中学受験ではトップクラスの学校ですが、高校からの募集は基本的には行っていません。東海高校、南山両校ともに中高一貫校のため中学からの入学が基本となります。
したがって、名古屋において「進学校への高校受験」を考えた場合、「公立高校」への受験をメインに考え、「私立高校」は難易度が高い東海高校(もしくは市外ですが滝高校)を併願、そして名古屋高校や愛知高校を滑り止めで受験することが一般的です。
入学金と授業料
愛知県立高校の入学金は5,650円、授業料は年間118,800円ですが(愛知県HP参照)、一方で私立の東海高校の入学金は200,000円、授業料は年間468,000円です(学校法人東海学園HP参照)。
教育理念や設備面での違いがありますから一概には言えませんが、経済的負担の面からだけ考えると、レベルの高い公立高校が多いことは名古屋の良いところです。
公立高校入試
複合選抜制度
愛知県の公立高校では、独自の「複合選抜制度」が採用されています。内容については、大手学習塾である佐鳴予備校HPが分かりやすいと思いますので、詳しい説明は省略します。
まず前提として、愛知県は「尾張学区」と「三河学区」に分けられており、名古屋市が属す尾張学区の「複合選抜制度」ついてのポイントは以下のとおりです。
- 県立および市立高校を、尾張1郡と尾張2郡に分け、それぞれをAグループとBグループに分ける
- 尾張1郡か尾張2郡を選択した上で、Aグループから1校、Bグループから1校を選択して、どちらかを第1希望、もう一方を第2希望として2校受験する(1校のみ受験することも可能)
自由に2校を選べるわけではなく、予め決められた群・グループから2校選んで受験します。
尾張学区の群・グループ分け

具体的な群・グループ分けは表のとおりです。名古屋市は「尾張学区」ですので表の左側(右側は三河学区です)をご覧ください。表には全ての公立高校が載っていますが、最初に大学合格実績を紹介した進学校6校は黄色でアンダーラインを引いています。
「複合選抜」では2校を受験できますが、自由に2校を選べるわけではなく、尾張1郡か2郡をまず選んだ上で、Aグループから1校、Bグループから1校を選びます。2校受験とは言っても選べる範囲はかなり狭いため、高校のレベルや立地を考えると、第1希望校を決めると第2希望校も絞られてきます。
「旭丘」を第1希望とする場合、旭丘は尾張1郡Aグループですから、第2希望は尾張1郡Bグループから選ぶことになり、尾張1郡Aグループや尾張2郡Aグループ、Bグループから選ぶことはできません。「旭丘ー菊里」はOKですが、「旭丘ー明和」「旭丘ー千種」は選べません。
同様に、「菊里」を第1希望とする場合、菊里は尾張1郡Bグループですから、第2希望は尾張1郡Aグループから選ぶことになり、尾張1郡Bグループや尾張2郡Aグループ、Bグループから選ぶことはできません。「菊里ー名東」はOKですが、「菊里ー向陽」「菊里ー瑞陵」は選べません。
愛知県では「複合選抜」以前に「学校群」と呼ばれる入試制度が採用されており、「複合選抜」の群・グループ分けは「学校群」時代と同じ組合せにならないように配慮されたようです。入試制度の変更によって各高校とも大きな影響を受けてきた歴史があり、興味のある方は以下記事も覗いてみてください。
受験校の組合せ
旭丘ー菊里
旭丘は、学校群時代は千種に抜かれたものの、愛知一中を前身とする伝統校であり進学実績面からもナンバーワンの学校です。旭丘を第1志望とする場合、レベルを考えると組合せは「旭丘ー菊里」の一択です。菊里を第2志望とするには不安が残るとなると、名古屋西か中村でも受けられますが両校ともにレベルが一気に下がりますので、尾張2郡で明和を受ける選択肢が浮上します。
明和ー瑞陵or千種
2番手の明和を第1志望とする場合、「明和ー瑞陵」「明和ー千種」のどちらか、もしくはもっと安全に受けたい場合は「明和ー桜台」の選択肢もあります。旭丘と比べて第2志望の候補が潤沢に与えられ、明和の方が受験しやすい制度になっています。第2志望候補の瑞陵と千種を比較すると、進学実績の面で瑞陵がやや優勢です。明和を受けるより安全に受けたいとなると、次の選択肢は向陽です。
向陽ー瑞陵or千種
向陽を第1志望とする場合、明和と同様に「向陽ー瑞陵」「向陽ー千種」で受けることができます。ただしレベルは近いので、ダブル落ちのリスクを考える必要が出てきます。
まとめ
名古屋での高校受験は「公立高校」を中心に考えることになります。愛知県では「複合選抜」による2校受験の制度ですが、2校受験の組合せは立地やレベルでほぼ決まってくるので、ポイントを抑えればそれほど難しい制度ではありません。
コメント